れですも色々

本棚 右2段目後ろ

ここは殆ど海軍関係本。

「聯合艦隊始末記 附・陸海軍抗争史」高木惣吉 文藝春秋新社
昭和24年発行のこの小さな本はGHQ占領下でも発行しえた。
旧軍に関することがあれほど制限された中、何故この本を出版できたかと考えるだけでも価値がある。
紙質が悪く、一見みすぼらしい本だが流石古書店というのは本の価値が判っている。
著者は米内、井上と共に終戦処理に奔走した海軍少将。

「大海軍を想う」伊藤正徳 文藝春秋新社
海軍について知りたければこの本をお勧めする。
というか最低限読んでおいて欲しい。

「ロシア戦争前夜の秋山真之」島田謹二 朝日新聞社
「敵艦見ゆとの警報に接し聯合艦隊は直に出動之を撃滅せんとす本日天気晴朗なれども波高し」
旗艦三笠から参謀秋山が打電したこの電文は未だに人口に膾炙している。

日露戦争時の著名な参謀について細密に資料を当たった労作・・だが。
所々に訳のわからん小説体なんぞを趣味で書き込むものだから、張り詰めて読んでいる者の気を殺ぐこと夥しい。
所詮は資料を集め放題にできる東大教授。
だが読ませる文章でお金は取れないな。

「アメリカにおける秋山真之」島田謹二 朝日選書
こちらも上に同じ。
普通の人間には思いもよらないような資料をあたら駄文で溝に捨てている。
考証と妄想は違う。
多分国費をふんだんに使って集めたであろう貴重な資料を己の自己満足に使うな。

但し、上の2書は資料部分は一級品。
同じ資料で書かせてくれえ。

「ツシマ 戦闘編」フランク・ティース 大観堂版
昭和18年刊行本。
基本的に記述が偏る事が多いこの時期の本は買わないことにしているのだが。
どうしてもこれしか(しかも後編)見つからず、用心しながら読んだ。
訳者(藤原 肇)の素養のせいか文学としても成立している。

「太平洋海戦史」高木惣吉 岩波新書
昭和24年刊。
これも発行時期を思えば奇跡のような本。
記述が綿密で省略、抑制がよく効いた文章。
紙不足の時勢もあったのだろうが、海戦史の教科書(今のものとは質が大違いの)になりうる。

「海軍主計大尉 小泉信吉」小泉信三 文藝春秋
当初、この本は私家版で出された。
色々な人が小泉の生前、大手出版社での出版を勧めたが、とうとううんと言わなかった。
刊行されたのは小泉の死後。
戦後は皇太子妃(現皇后)の教育係として知られた著者は「公」と「私」の区別をきちんと守る「明治の人」であった。
この本を読むと親より先には死ねないと本当に思う。

「撃滅」小笠原長生 実業之日本社
昭和5年刊。
東郷元帥の私設秘書とも言われた著者だがまあ内容はともかくとして。
巻末付録の日本海海戦公報は非常に価値がある。
また著者は維新の時、長州藩に殴りこまれた(笑)小倉藩小笠原家の世が世ならお殿様。

「私記 キスカ撤退」阿川弘之 文春文庫
日本軍が離島といえどもアメリカ領土を占領した時期があった。
といっても戦略的には何の価値もない愚行だったが。
その内アッツ島は将兵が玉砕し、よく知られている。
これはもう一つの島、キスカ島から取り残された将兵をアメリカ海軍、空軍の網の目のような隙間から救い出した話。
第一水雷船隊司令官木村昌福少将(当時)は尊敬する海軍軍人の一人。

「バルチック艦隊の壊滅」ノビコフ・プリボイ 原書房
第1回スターリン賞を受賞・・・とあるのはこれは帝政ロシア末期の腐敗した官僚制や専制政治を批判した記述が評価されたもの。
読んでみると確かに思想臭はするものの、戦闘描写などは現場にいたものならでは。

「日露戦争」古屋哲夫 中公新書
何というか主観と客観が入り混じりすぎていて、これでは判らん。
というよりも一見客観的に記述しているように見せかけて、実は主観の押し付けという、学者が歴史を語る上で一番やってはならない事をしでかしている。
自分の記述に都合のいい部分は原典を記し、都合の悪い部分は原典を飛ばすという書き出しが多すぎて笑止。

「桂太郎と日露戦争将軍たち」 豊田穣 講談社
このシリーズでは唯一読むに値する。
史実とエピソードの分量がほどよく、日露戦争の入門としてはお勧め。

「日本海軍英傑伝」実松譲 光人社NF文庫
非常にいい米内本を出した著者だが、この本はいただけない。
小説仕立ての部分が甘すぎ、読んでいて照れてしまう。
またこれは光人社の出版物に共通の欠点だが、漢字であるべき字を殊更にひらがな表記する為に余計に読みにくく、また品位がなくなる。

「思い出のネイビーブルー」松永市郎 光人社NF文庫
本当に海軍軍人らしい良本。
校正がきちんとしているのか光人社独特の悪癖が少ない。
文章も抑制が効き、そこら辺の「小説家」顔負け。

「海軍と日本」池田清 中公新書
最末期の海軍兵学校出身。
出典が明らかで、それは人名にも及んでいる。
非常にありがたい本で、これこそ学者の本(しかも経験者)。

「知将 秋山真之」生出寿 徳間文庫
寄せ集め本だが、端的に秋山を知るのならこれでもいいだろう。
但し、徳間文庫という出版社は編集者か校正担当者を何とかしないと、この小学生並みの句読点の打ち方では本当に読んでいて萎える。
我々素人とは違うのだよ。
お金を貰える代物ではない。
せっかくの文章も台無しにしている。

「連合艦隊の栄光」 伊藤正徳 角川文庫
これも海軍というものを知るのには良い本。
「雪風」という終戦後も復員輸送に活躍した駆逐艦の話も本当にいい。

「海軍の昭和史」杉本健 文藝春秋
海軍省記者(黒潮会)として昭和18年まで10年以上海軍(省)を見つめてきた記者の記録。

「先任将校」松永市郎 光人社
撃沈された軽巡「名取」乗組員が27歳の先任将校(大尉)のもとに13日間海上を300海里離れたフィリピンめざした後、無事救助された。
この時次席将校だったのが著者。

「回想の海軍ひとすじ物語」福地誠夫 光人社
これは紳士の書といえるだろう。
よき時代の海軍の気分というものが味わえる。

「欧州大戦」民友社 徳富猪一郎(蘇峰)監修 吉野作造編
大戦といってもこの本は大正5年刊。
つまり第一次世界大戦の本。
序文に惹かれて購入した。

「自伝的海軍始末記」高木惣吉 光人社NF文庫
本当はできるだけ出版当時のものが欲しかったがやむを得ずこれになった。
内容は素晴らしいが、やはりこの出版社の校正はどこかおかしい。

「連合艦隊の最後」伊藤正徳 角川文庫
海軍というものを知る上でこの著者は欠かせない。
必読本といえる。

「海軍めしたき総決算」高橋孟 新潮文庫
海軍本には士官の著書が多いが、これは珍しい海兵の本。
シリーズになっていて、所有しているのはこれ1冊だが多分全部読んだ。

「海軍おもしろ話」生出寿 徳間書店
海兵、将校からの聞き書きを集めたもの。
もう少し表現を変えれば同じ話でも違うのかもとは思うが、男所帯ではまあこれが真実に近かったのだろう。

「海軍よもやま物語」小林孝裕 光人社
志願兵として海兵団に入った海兵の戦争と海軍の話。
これも海軍の実態の一面を学ぶのに役立った。

「図説 帝國海軍」野村実監修 太平洋戦争研究会 編著 翔泳社
よく纏まってはいるが、帝國海軍はちょっと口幅ったいかな。
昭和期の帝國海軍という表題なら納得。

「中央公論 歴史と人物創刊号」昭和46年9月刊
大本営機密戦争日記の抄録が目当てで購入。
日記にも書いたが、これを読むと売国奴というのはいつの時代でも愛国者の看板を掲げているのがよく判る。

 








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